2018,05,12, Saturday
GWも終わりましたが、つかの間の休日はいかがお過ごしでしたか?
私は日帰りで日田まで、その後1泊で阿蘇に行ってきました。
日帰りで日田に何をしに・・・と思いますが、特に観光とかではなく買い物です。
日田北部の山の中、皿山という場所があります。
そこは小鹿田(おんた)焼の里として有名ですが、その小鹿田焼を買いに行ってきたわけです。
今から2年前、自宅を新築中に小石原で食器を大量に買ったことはこのブログでも触れました。
小石原焼の食器はとても気に入って使っていたのですが、そのあと小鹿田焼のことを知ってその年の秋に開催された小鹿田の民陶祭に行ってみたんです。
そこで私もかみさんもすっかり魅了されてしまい、それ以来小鹿田焼の大ファンになったというわけです・・・
小鹿田焼は小石原焼の兄弟窯とも言われ、飛び鉋に櫛目、刷毛目などとてもよく似た焼き物です。
ぱっと見はどちらも見分けが付かないのですが、小石原焼は繊細で優しい女性的な感じがする一方、小鹿田焼はダイナミックで男性的。
特に鉋の入れ方などはその違いが顕著だと思います。
具体的にどう違うのかは各々画像検索でもして頂ければすぐに分かると思いますのであえて画像は載せませんw
小鹿田焼で特筆すべき点は柳瀬家・黒木家・坂本家・そして分家の小袋家でなる10軒の窯元が一子相伝で受け継いでいるということ。
地元の山で採れた土を川の水を使った唐臼で挽き、電気を使わず蹴ろくろで形を作って薪を使用した登り窯で焼く、そんなスタイルを300年以上守り続けています。
そしてその焼き物には「小鹿田」「おんた」などの銘は入れても窯元個人の銘は入れないなど、この辺が小石原焼とは大きく異なるところでしょうか・・・
小石原焼は色やデザインに富み、若い人たちにも人気がありますが、価格はちょっと高めです。
小鹿田焼と同じ民窯とはいえ、細かいところの処理など製品としての見栄えもよく考えて作っているからでしょうか・・・
一方の小鹿田焼は多少歪みあがったり塗りも一見荒っぽく雑な感じがするかもしれませんが、これは元来普段使いの器を作り続けているからです。
観光客向けの焼き物を焼くわけではなく、あくまで今まで作ってきた物を変えずに作り続けていく、そのスタンスはどの窯元も一貫しています。
そのためか小石原焼よりも価格は低めです^^
さて、その小鹿田焼に一目惚れした2016年の10月、あれほど小石原で買い求めたのに大量購入w
大量とは言っても家族3人で使う食器ですからたかがしれてます・・・
そんな中、とある窯元の店先に小ぶりな睡蓮鉢が置いてあったんです。
自宅でも睡蓮鉢でメダカを飼っていたのでちょっと気になって見ていたのですが、窯主と思しき主人は鉢を軽く叩きながら「恐らくどこかにちょっとヒビが入っている」と、水を張るのは避けた方が良いとのことでした。
小鹿田焼の睡蓮鉢も良いよなぁなんて思って他の窯元でも探してみたんですが見当たりません。
しかし、先ほどのはちょっと小ぶりで自宅にあった睡蓮鉢と入れ替えるには小さすぎるなぁとその時は諦めて帰ったのです。
そして帰宅後ネットで小鹿田焼の睡蓮鉢を検索してみたのですが、その中にこれだ!と思う鉢をあるショップのHPで見つけます。
色といいデザインといい、まさに私の望む睡蓮鉢がモニタに映し出されていたのですが、残念ながらそれは売り切れとのことで買うことができません。
一度その鉢を見てしまうとどうしても欲しい、他に売っていないかいろいろ探したのですが見つかりません・・・
ならばと、その翌年の5月に行われた唐臼祭で小鹿田を再訪し、あの睡蓮鉢を作った窯元に向かいあるお願いをしてみました。
すみません、この睡蓮鉢を同じ物が欲しいんですけど・・・
と、スマホの画像を見せると、店番の女性が「ちょっと待ってくださいね・・・」と窯主らしき人を呼びに行きます。
こうちゃん、こうちゃん、ちょっと・・・
その窯主こそ小鹿田を代表する陶工で大物を得意ともしている坂本浩二氏。
はい、なんでしょう?
とそのイケメン氏が登場し、私は睡蓮鉢を探していることを伝えます。
しかしあいにく同じ物は在庫していなかったのですが、試しに「作ってもらうことってできるんですか?」と尋ねると「もちろんです」と・・・
おお!
お店からの注文ばかりだと思っていたのですが、このように個人による注文も受けてくれるんですね。
こうなれば話しは早い。
スマホの画像を見せ、これと同じデザインで、大きさは直径40cmほど・・・と伝えます。
「分かりました、ありがとうございます!」と私に名刺を渡す坂本氏に「では秋のお祭りでまた伺います」とこちらの連絡先を伝え、この日は数点の器を買って帰りました・・・
しかしその2ヶ月後・・・
九州北部を襲った豪雨で日田の皿山地区も甚大な被害を被ります。
川が氾濫し山肌は崩れ、道路や橋は損壊して、小鹿田焼の里も多くの唐臼が流されたり破損したりと大きな被害がでました。
その後必死に復旧作業が行われてきましたが、秋の民陶祭は残念ながら中止となってしまいました。
その後、年が明けて坂本氏から電話があります。
「お待たせしてすみません、睡蓮鉢は焼き上がっていますので、いつでも都合の良いときにおいで下さい」と。
「5月のお祭りの時にでも伺います」と伝えたのですが、なんとその唐臼祭も中止に・・・
冬場の積雪も多く、重機不足なども重なって復旧作業に遅れが生じ修復箇所もまだ多いためとのことでした。
しかし、製作と販売は行っているとのことでしたので、4月末に思い切って小鹿田まで行ってみました。
日田ICから国道212を経て県道107号線に入り山に向かいます。
道路はおおむね修復されておりスムーズに走行できましたが、所々離合困難でタイマーによる交互通行する箇所もありました。
川や山のあちこちに豪雨災害の痕跡が残り、まだまだ復旧の途中であることを再確認します。
ある程度山に入ると道路の被害は少なく、程なくして小鹿田焼の里に到着。
お祭りの期間中は朝9時前には来ておかないと車を駐める場所に苦労するんですよね。
グランド跡が臨時駐車場になり、トンネルの先は片側1車線を潰して駐車場にするほどです。
しかしこの日はさすがに車は少なく、数少ない集落上方にある駐車スペースに駐めることができました。
車を降りてすぐの窯元はかみさんのお気に入りである坂本義孝窯。
私の睡蓮鉢など眼中にないかみさんは車を降りるやいなやその窯元へ・・・
コーヒーカップとソーサーのセットなどを購入して、一軒一軒見ながら降りて行きます。
この日は休日ではありましたが、お祭りは開催されていないので販売品の数も非常に少ないです。
というか普段がこういう感じなんでしょうね・・・
しかしお客さんの数は想像以上に多くて驚きました。
年配の方が多かったのですが、中には若い家族連れや外国人のカップルなどもいて結構賑やかでした。
夫婦揃ってお気に入りの柳瀬晴夫窯などでもいくつか買い求め、いよいよやってきました坂本浩二窯。
はやる気持ちを抑えて窯元を伺います・・・
お待たせしました・・・
いやいや、大変でしたね・・・
そんな会話のあとに引き出しの奥から取り出してきた物が・・・
おおお~
イメージ通りじゃないですか~
直径は尺三寸で約39cm。
全体にダイナミックな飛び鉋が施され、櫛目がアクセントになったいわばよく見るタイプの柄です。
シンプルでありながら一見して小鹿田焼と分かるこのデザインがとても気に入っています^^
車のホイールが入っていた段ボールに丁寧に梱包して頂き、早速お会計・・・
金額はあえて書きませんが、ネットで売っている価格よりもはるかにお安いってことだけ書いておきますw
何度も礼を言い、とりあえずブツは車に乗せ、集落唯一の飲食店である山のそば茶屋でおいしいおそばを頂きました。
ギ~・・・ゴットン と、小川のせせらぎと共に静寂の中に響く唐臼の音、これぞまさしく小鹿田の風景。
ゆったりとした時間の中でのんびりと好きな焼き物を見て回りのもいいよね~
小鹿田のすばらしさを再確認したと同時に、自分が着実に歳をとっているということを実感させられた一日でしたw
私は日帰りで日田まで、その後1泊で阿蘇に行ってきました。
日帰りで日田に何をしに・・・と思いますが、特に観光とかではなく買い物です。
日田北部の山の中、皿山という場所があります。
そこは小鹿田(おんた)焼の里として有名ですが、その小鹿田焼を買いに行ってきたわけです。
今から2年前、自宅を新築中に小石原で食器を大量に買ったことはこのブログでも触れました。
小石原焼の食器はとても気に入って使っていたのですが、そのあと小鹿田焼のことを知ってその年の秋に開催された小鹿田の民陶祭に行ってみたんです。
そこで私もかみさんもすっかり魅了されてしまい、それ以来小鹿田焼の大ファンになったというわけです・・・
小鹿田焼は小石原焼の兄弟窯とも言われ、飛び鉋に櫛目、刷毛目などとてもよく似た焼き物です。
ぱっと見はどちらも見分けが付かないのですが、小石原焼は繊細で優しい女性的な感じがする一方、小鹿田焼はダイナミックで男性的。
特に鉋の入れ方などはその違いが顕著だと思います。
具体的にどう違うのかは各々画像検索でもして頂ければすぐに分かると思いますのであえて画像は載せませんw
小鹿田焼で特筆すべき点は柳瀬家・黒木家・坂本家・そして分家の小袋家でなる10軒の窯元が一子相伝で受け継いでいるということ。
地元の山で採れた土を川の水を使った唐臼で挽き、電気を使わず蹴ろくろで形を作って薪を使用した登り窯で焼く、そんなスタイルを300年以上守り続けています。
そしてその焼き物には「小鹿田」「おんた」などの銘は入れても窯元個人の銘は入れないなど、この辺が小石原焼とは大きく異なるところでしょうか・・・
小石原焼は色やデザインに富み、若い人たちにも人気がありますが、価格はちょっと高めです。
小鹿田焼と同じ民窯とはいえ、細かいところの処理など製品としての見栄えもよく考えて作っているからでしょうか・・・
一方の小鹿田焼は多少歪みあがったり塗りも一見荒っぽく雑な感じがするかもしれませんが、これは元来普段使いの器を作り続けているからです。
観光客向けの焼き物を焼くわけではなく、あくまで今まで作ってきた物を変えずに作り続けていく、そのスタンスはどの窯元も一貫しています。
そのためか小石原焼よりも価格は低めです^^
さて、その小鹿田焼に一目惚れした2016年の10月、あれほど小石原で買い求めたのに大量購入w
大量とは言っても家族3人で使う食器ですからたかがしれてます・・・
そんな中、とある窯元の店先に小ぶりな睡蓮鉢が置いてあったんです。
自宅でも睡蓮鉢でメダカを飼っていたのでちょっと気になって見ていたのですが、窯主と思しき主人は鉢を軽く叩きながら「恐らくどこかにちょっとヒビが入っている」と、水を張るのは避けた方が良いとのことでした。
小鹿田焼の睡蓮鉢も良いよなぁなんて思って他の窯元でも探してみたんですが見当たりません。
しかし、先ほどのはちょっと小ぶりで自宅にあった睡蓮鉢と入れ替えるには小さすぎるなぁとその時は諦めて帰ったのです。
そして帰宅後ネットで小鹿田焼の睡蓮鉢を検索してみたのですが、その中にこれだ!と思う鉢をあるショップのHPで見つけます。
色といいデザインといい、まさに私の望む睡蓮鉢がモニタに映し出されていたのですが、残念ながらそれは売り切れとのことで買うことができません。
一度その鉢を見てしまうとどうしても欲しい、他に売っていないかいろいろ探したのですが見つかりません・・・
ならばと、その翌年の5月に行われた唐臼祭で小鹿田を再訪し、あの睡蓮鉢を作った窯元に向かいあるお願いをしてみました。
すみません、この睡蓮鉢を同じ物が欲しいんですけど・・・
と、スマホの画像を見せると、店番の女性が「ちょっと待ってくださいね・・・」と窯主らしき人を呼びに行きます。
こうちゃん、こうちゃん、ちょっと・・・
その窯主こそ小鹿田を代表する陶工で大物を得意ともしている坂本浩二氏。
はい、なんでしょう?
とそのイケメン氏が登場し、私は睡蓮鉢を探していることを伝えます。
しかしあいにく同じ物は在庫していなかったのですが、試しに「作ってもらうことってできるんですか?」と尋ねると「もちろんです」と・・・
おお!
お店からの注文ばかりだと思っていたのですが、このように個人による注文も受けてくれるんですね。
こうなれば話しは早い。
スマホの画像を見せ、これと同じデザインで、大きさは直径40cmほど・・・と伝えます。
「分かりました、ありがとうございます!」と私に名刺を渡す坂本氏に「では秋のお祭りでまた伺います」とこちらの連絡先を伝え、この日は数点の器を買って帰りました・・・
しかしその2ヶ月後・・・
九州北部を襲った豪雨で日田の皿山地区も甚大な被害を被ります。
川が氾濫し山肌は崩れ、道路や橋は損壊して、小鹿田焼の里も多くの唐臼が流されたり破損したりと大きな被害がでました。
その後必死に復旧作業が行われてきましたが、秋の民陶祭は残念ながら中止となってしまいました。
その後、年が明けて坂本氏から電話があります。
「お待たせしてすみません、睡蓮鉢は焼き上がっていますので、いつでも都合の良いときにおいで下さい」と。
「5月のお祭りの時にでも伺います」と伝えたのですが、なんとその唐臼祭も中止に・・・
冬場の積雪も多く、重機不足なども重なって復旧作業に遅れが生じ修復箇所もまだ多いためとのことでした。
しかし、製作と販売は行っているとのことでしたので、4月末に思い切って小鹿田まで行ってみました。
日田ICから国道212を経て県道107号線に入り山に向かいます。
道路はおおむね修復されておりスムーズに走行できましたが、所々離合困難でタイマーによる交互通行する箇所もありました。
川や山のあちこちに豪雨災害の痕跡が残り、まだまだ復旧の途中であることを再確認します。
ある程度山に入ると道路の被害は少なく、程なくして小鹿田焼の里に到着。
お祭りの期間中は朝9時前には来ておかないと車を駐める場所に苦労するんですよね。
グランド跡が臨時駐車場になり、トンネルの先は片側1車線を潰して駐車場にするほどです。
しかしこの日はさすがに車は少なく、数少ない集落上方にある駐車スペースに駐めることができました。
車を降りてすぐの窯元はかみさんのお気に入りである坂本義孝窯。
私の睡蓮鉢など眼中にないかみさんは車を降りるやいなやその窯元へ・・・
コーヒーカップとソーサーのセットなどを購入して、一軒一軒見ながら降りて行きます。
この日は休日ではありましたが、お祭りは開催されていないので販売品の数も非常に少ないです。
というか普段がこういう感じなんでしょうね・・・
しかしお客さんの数は想像以上に多くて驚きました。
年配の方が多かったのですが、中には若い家族連れや外国人のカップルなどもいて結構賑やかでした。
夫婦揃ってお気に入りの柳瀬晴夫窯などでもいくつか買い求め、いよいよやってきました坂本浩二窯。
はやる気持ちを抑えて窯元を伺います・・・
お待たせしました・・・
いやいや、大変でしたね・・・
そんな会話のあとに引き出しの奥から取り出してきた物が・・・
おおお~
イメージ通りじゃないですか~
直径は尺三寸で約39cm。
全体にダイナミックな飛び鉋が施され、櫛目がアクセントになったいわばよく見るタイプの柄です。
シンプルでありながら一見して小鹿田焼と分かるこのデザインがとても気に入っています^^
車のホイールが入っていた段ボールに丁寧に梱包して頂き、早速お会計・・・
金額はあえて書きませんが、ネットで売っている価格よりもはるかにお安いってことだけ書いておきますw
何度も礼を言い、とりあえずブツは車に乗せ、集落唯一の飲食店である山のそば茶屋でおいしいおそばを頂きました。
ギ~・・・ゴットン と、小川のせせらぎと共に静寂の中に響く唐臼の音、これぞまさしく小鹿田の風景。
ゆったりとした時間の中でのんびりと好きな焼き物を見て回りのもいいよね~
小鹿田のすばらしさを再確認したと同時に、自分が着実に歳をとっているということを実感させられた一日でしたw
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