かつての要衝へ・・・
奥出雲おろち号は宍道駅で方向転換し、トロッコ客車が先頭となり木次線に入ります。
それまでの山陽本線とは違い線形はかなり悪く、列車は左右に揺さぶられながらゆっくりと進んでいきます・・・
この木次線は2001年に自動閉塞化されるまで、JR西日本に残る最後のタブレット閉塞路線でした。
私が子供の頃に祖父母の家まで行くのによく利用していた筑肥線もタブレットを持った駅員をよく見かけましたね。
ホームの端にあった鉄の棒で渦を巻いた奇妙な形のタブレット受器も鮮明に覚えています。

そんなローカル線を沿線の樹木の葉っぱに車体を叩かれ、ゴトゴトと揺られながらゆっくりと中国山地に向かって走って行きます。
この日は小雨が降ったり止んだりで、木々の枝葉は濡れています。
その濡れた枝葉で車体側面が叩かれるわけですが、この列車は窓のないトロッコ車両・・・
当然豪快な水しぶきを浴びることになります。
ロケーションの事もあり敢えて進行方向右側を取っていた私は幸いにしてその水しぶきを浴びることはあまりありませんでしたが、
多くが山側になる左側のお客さんは注意が必要ですw




木次駅に到着。
この列車が出雲市延長日ではないときの本来の始発駅です。
この画像の反対になる北側には木次鉄道部があり、留置線には木次線を走行する列車の車庫もあります。
おろち号の車両も普段はこの車庫に留置されています。

木次駅を出るとまた山間部に入っていきます。
車内販売では木次乳業の牛乳も販売していますが、こちら九州では一部のスーパーでも取り扱っているのであまり新鮮さはありませんw
途中の駅で乗り込んできた売り子さんから買った仁多牛弁当はおいしかったですね。
まだ暖かくて柔らかい牛肉とほんのり甘いタマネギ、しつこくない味付けが気に入りました。
また亀嵩駅や八川駅では有名なそば弁当を買うこともできますが、出雲そばは出雲入りしたときに食べたので今回は見送りました。




車内照明はマリンランプのような白熱灯で、トンネルに入って車内が暗くなると中央付近に飾られているヤマタノオロチが浮かび上がります。




列車は出雲坂根駅に到着。
ここでは若干停車時間が長めですので、ホームに降りて散策。
ホーム横には延命水という有名な湧き水を自由に頂くことができますし、おいしい焼き鳥もその場で焼いてくれますのでおすすめ。
このあと列車は国内には3路線4ヶ所にしかない3段式(Z型)のスイッチバックで山を登っていきます。
その4ヶ所とはこの出雲坂根駅と肥薩線の大畑駅、真幸駅、そして豊肥本線の立野駅です。
4ヶ所中3ヶ所が九州なんですね・・・
大畑と真幸は昔乗ったブルトレのリバイバル列車で経験済みです。
特に大畑駅のループ線と組み合わされたスイッチバックは圧巻でした。
残念ながら立野のスイッチバックは未経験です。
南阿蘇鉄道のトロッコ列車に乗るため立野駅には行きましたが車だったんで、いつか九州横断特急で体験したいと思っていたのですが・・・
去年の大地震で甚大な被害が出て、豊肥本線は肥後大津~阿蘇間が不通となって復旧の見通しはまだ立っていません。
ななつ星をはじめ観光列車にも影響が及んでいますし、なんとか復旧してくれることを祈っています。

九州以外で唯一の三段式スイッチバック駅であるここ出雲坂根でおろち号は方向転換し、バックで急坂を登っていきます。
しばらく登ったあと、もう一度方向転換して登っていくと・・・




生い茂る木々の隙間から眼下に出雲坂根駅が確認できます。
こうやって列車はJR西日本の駅で一番高い場所にある三井野原駅まで160mあまりを必死に登っていくわけです・・・
ちなみに日本最大のスイッチバックと呼ばれるのは豊肥本線の立野駅のスイッチバックで、隣の赤水駅との標高差は約190mとのこと。







国道314号線の奥出雲おろちループと、その先にある三井野原大橋が見えます。
このループ橋のおかげで道路交通の便は格段によくなり、陰陽連絡という使命は完全に鉄道から道路にバトンタッチされたと言えるでしょう。
しかしこの道路、通行量はお世辞にも多いとは言えません。
道路事情が格段によくなったわけですが、周辺地域は過疎化と高齢化。
仕方ないのかなぁ・・・




さて、いよいよ列車は終点備後落合駅に到着です。
ここは芸備線の駅ですが木次線の終点でもあります。
昔は急行列車も運転され、重要拠点駅でした。
ですから当然大勢の職員が配置され、広い構内では入れ替え作業などで賑わっていたそうです。
しかしその後優等列車も廃止され、今や無人駅となっています。




駅前にはコンビニはおろか自動販売機すらありません。
約1kmほど先に「ドライブイン落合」というお店があるのですが、そこまで歩いて行くしかありません。
初日の記事で書いたとおり、ここで新見方面の列車を2時間待つのは拷問とも言えます。
三次方面は臨時列車がすぐ連絡していて、この日もおろち号から降りたお客はほとんどその臨時列車に乗っていきました。
しかし私たちは三次方面に用はないわけで、結局おろち号でまた戻る事にしたのです。




しばらくすると三次方面から列車がやってきました。
降りたお客はほぼ全てここからおろち号に乗るお客でしょうw




当駅到着から出発まで20分ほどですが、すでに大勢のお客さんが乗り込んでいます。
どうやら団体のお客もいるようで、往路よりもなんだか賑やかでした・・・


復路に関しては特に何も書くことはありません。
来たときと同じですからw
ただこの帰りの車中では思いがけない人に出会いました。

帰りは主にクーラーの効いた控え車にいたのですが、ある時声を掛けられます・・・


「すみません、もしかして福岡の・・・?」

ああ!
なんでこんなところにいるんですか?
ええ~?

ってな感じでね、昔の同僚で今は別の支店に勤務する方とバッタリ出会ったのです。
話を伺うと、彼はこの木次線が大好きで年に何度も訪れているそうです。
しかもただ好きってだけではないようで、後々ここに移住しようと計画をしているらしく、こちらでの仕事もある程度目星がついているとのこと。
この辺で知り合った人たちも大勢いて、いろいろとお世話になっているみたいでした。
移住の話も本気のようでして、まだ独身だし思い切ったことに挑戦するのもいいでしょう。

頑張って!

知り合いのところに寄っていく、と八川駅で降りた彼を見送り、列車はいつの間にか木次駅に到着します。

木次駅で乗り換え宍道駅で特急「やくも」に乗り換えます。
僅かな時間なのですが、結構疲れているし、蒸し暑いし、特急料金なんて気にしてられませんw




空はあいにく曇り空。
雨こそ降ってはいませんが、宍道湖の上にはどんよりとした雲がかかっています。
天気がよければここは見事な夕日が見られるんだろうに、まぁ仕方ありません・・・

松江駅で降りてバスに乗り、一畑電車の松江しんじ湖温泉駅に向かいます。
託送サービスをお願いしていた荷物を受け取り、ホテルへ・・・
この日の宿は松江しんじ湖温泉駅から歩いてすぐのホテル一畑。
レイクビューの部屋ですが、この天気じゃ夕日なんて期待できませんので適当に飯でも食いに行きました・・・



| 旅::山陰の旅 | 16:23 | comments (0) | trackback (0) |

  
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